「眠れなかったらどうしよう」──眠れない夜の不安を悪化させる落とし穴4つ

不眠改善のヒント

夜が近づくと、ふと頭をよぎる言葉があります。
──「眠れなかったらどうしよう」。

この不安に心を縛られ、ますます眠れなくなる。不眠症に悩む人なら誰もが経験することかもしれません。私も30年ものあいだ、この思いに苦しめられてきました。

昼間は普通に過ごせていても、夕方から胸がざわつき始め、布団に入るころには「明日の仕事に差し支える」「体が持たない」「やりたいことができなくなる」と、ネガティブな考えばかりが頭を占領するのです。

しかし振り返ると、眠れない夜がつらいのは「不眠そのもの」だけが原因ではありませんでした。実は、知らず知らずのうちにハマってしまう“落とし穴”があったのです。

この記事では、私の体験をもとにその落とし穴と対策をご紹介します。


落とし穴① 不安を押し込めようとする

カウンセラーの先生も言っていましたが、不安は押し込めようとするほど大きく膨らみます。私も布団の中で考え込むだけで夜を過ごし、頭が冴えてしまったことが何度もありました。

大事なのは、不安が来たときに「とにかく何か行動する」こと。
例えば、軽くストレッチをする、ちょっとした家事を片づける、好きな本を読む。負担にならない程度の行動をすると、不安に飲み込まれ続けることがなくなり、気づけば気持ちが落ち着いていることもあります。


落とし穴② 「眠れなきゃダメ」と思い込む

「今日は絶対眠らなきゃ」と思えば思うほど、体も心も緊張して眠れなくなります。

まず知っておきたいのは、眠りは呼吸や消化と同じ生理現象だということ。本来、努力して得るものではありません。「寝なきゃ」ではなく「体が必要なら勝手に眠る」と視点を変えるだけで、プレッシャーは少し和らぎます。

また、心理療法で使われる逆説的意図という考え方も役立ちます。「眠れなくてもいいや。起きている時間も自分の時間」とあえて開き直ることで、眠りへの執着が減り、かえって眠りやすくなることがあります。

さらに、眠れるかどうかへの注目を外し、別のことに意識を向けるのも効果的です。

例えば、筋弛緩法で体の力を抜く、本を少し読む、呼吸を整える──そんな小さな行動だけでも、緊張が緩み、自然と眠りに近づけます。


落とし穴③ 焦って行動を増やす

眠れない夜に「何かやらなきゃ」と焦って行動を増やすのは、とても自然な反応です。脳には、不安を行動で解決しようとする習性があるからです。

でも、そこでどんどん“やることリスト”が増えると、逆に頭が冴えて眠りから遠ざかってしまいます。まるで火を消すためにガソリンをかけるようなもの。

大事なのは、行動を増やさない勇気と「やらないことの選択」です。焦りを感じたら「これは焦りだな」とラベリングしてみましょう。そうすると焦りと自分の間に距離ができ、行動の暴走にブレーキがかかります。

もう一つの工夫は「小さな一つだけを選ぶ」こと。
例えば、

  • 深呼吸を3回して終わりにする
  • お気に入りのフレーズを心の中で唱える
  • 布団の感触に意識を向ける

これ以上はやらないと決めておくと、頭が勝手に次の方法を探そうとするのを止めやすくなります。


落とし穴④ 情報を集めすぎて混乱する

眠れない夜にスマホで「不眠 改善」と検索して、情報を浴び続ける──私も何度も繰り返しましたが、結果は逆効果でした。

不眠の改善は「情報を足す」より「情報を減らす」ことから始まります。混乱の正体は、選択肢が多すぎること。

そこでおすすめなのが「夜は情報を入れないルール」。

  • 夜10時以降は検索しない
  • 新しい情報は朝に確認する
  • 気になる情報は一旦メモして“先送り”する

これだけで夜の混乱を防ぎ、不安が増えるのを防げます。


まとめ:気づけばもう一歩進んでいる

眠れない夜には、不安を押し込める、眠れなきゃと追い込む、焦って行動を増やす、情報を集めすぎて混乱する──こんな落とし穴が待っています。

あなたは、どの落とし穴にハマりやすいですか?

でも大丈夫。落とし穴に気づいた時点で、もう対策は始まっています。
不安な夜にできる最初の一歩は、10分だけ何か小さな行動をしてみること。ストレッチでも、呼吸でも、ちょっとした家事でも構いません。

すぐに劇的に変わるわけではありませんが、今日の夜からでも小さな一歩は始められます。1週間、1か月と繰り返すうちに、不安との距離の取り方が少しずつ身についていきます。

眠りを努力で勝ち取ろうとせず、落とし穴を避けながら“自分に合う安心”を見つけていくこと。これが、私が30年の不眠から学んだ大切な工夫です。


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