骨折や発熱なら「今日は休みます」と言えるのに、眠れないことはなぜか口に出しにくい──。
私自身も長い間、職場や友人に「眠れなくてつらい」とは言えず、普通を装って過ごしていました。
眠れない夜を抱えたまま仕事に行き、必死に“普通”を演じていたあの日々。
でも隠せば隠すほど心は張りつめ、ますます不安が強くなっていったのです。
眠れないことが言いにくい理由
目に見えない不調だから理解されにくい
骨折や熱のように外から見える症状ではないため、「眠れない」という訴えは軽く扱われがちです。
実際に私も「夜更かししてるだけじゃないの?」と軽く言われたことがあり、余計に言いにくくなりました。
誤解や心配されすぎる不安
「怠けていると思われるかも」という誤解への不安。
逆に、過剰に心配されすぎてしまうことも避けたい。
私も一度だけ勇気を出して打ち明けたとき、必要以上に心配されてしまい、それが負担になったことがあります。
弱さを見せたくない気持ち
職場では成果や責任が重視されるため、「眠れない=弱い」と見られるのが怖い。
「この人大丈夫なのか」と不安材料にされるのではないか、ポジションを失うかもしれない──そんな恐怖は真面目な人ほど強く抱えやすいのではないでしょうか。
私も「迷惑をかけたくない」と思うあまり、つらくても笑顔でやり過ごしていました。
眠れないことを隠すデメリット
サポートを受けにくくなる
眠れないことで体調を崩しても、周囲は事情を知らないので「やる気がない」と誤解されがちです。
本来なら仕事量の調整や配慮をお願いできるのに、隠しているとサポートを得にくくなります。
孤独感・プレッシャーが増す
「自分だけがつらい」と感じやすくなり、孤立感が強まります。
さらに「隠し通さなきゃ」と気を張ることで、余計に神経が緊張し、眠りにくくなる悪循環に。
信頼関係に影響する
ミスや遅れが出たときに理由を伝えられず、「なぜ説明しないの?」と信頼を損ねるケースもあります。
オープンに話していれば理解を得られたかもしれないのに、その機会を逃してしまうのです。
自分への負担が大きくなる
「普通に見せよう」とする努力そのものがエネルギーを奪います。
仕事よりも「隠すこと」に疲れ果ててしまい、本来の力を発揮できなくなります。
心が軽くなる向き合い方
信頼できる人に一言だけ伝える
すべてを説明する必要はありません。
「最近ちょっと眠れてなくて」と短く伝えるだけで、気持ちはかなり楽になります。
私もカウンセリングの先生にほんの一言伝えただけで、背負っていたものが少し軽くなった経験があります。
無理に理解を求めなくてもいい
「みんなにわかってもらわなきゃ」と思うと苦しくなります。
信頼できる一人や専門家など、安心できる相手にだけ話すだけでも十分。
私は「この人にだけは話そう」と決めたことで、心の緊張がほどけていきました。
書き出して整理する
誰にも言えないときは、紙に思いを書き出すのも有効です。
私は「眠れないことを隠している自分の本音」をノートに書いたとき、初めて「自分って本当は辛かったんだ」と気づけました。
ちょっと科学的な補足
心理学では「カタルシス効果」と呼ばれますが、悩みを言葉にするだけで神経の緊張がほぐれ、リラックスしやすくなります。
泣いたあとにスッキリするのと同じで、「話す」ことは心と体に整理の余白を与える行為なんです。
まとめ
眠れないことを言えないのは弱さではなく、自然な反応です。
大切なのは「どうすれば心が少し軽くなるか」を自分なりに見つけていくこと。
無理にすべてを話さなくても、言える形を選ぶだけで前に進める一歩になります。

