生活改善でできることには限界がある
私は20代から睡眠薬や抗不安薬を飲み続け、50代になると薬を飲んでもまったく眠れない現実に直面しました。
「これだけ薬を飲んでいるのに、どうして眠れないのか」
焦りや不安で胸が締め付けられ、夜中の2時、3時に目が冴えたまま。眠るどころか、眠れないことを意識するほど目が冴えていく悪循環でした。
もちろん、生活改善にも取り組みました。
寝る前にスマホを置き、夕方以降のカフェインをやめ、朝は日光を浴びる。これらの習慣は確かに土台になり、少しはラクになったように思います。
けれど、それだけでは不眠を根本から解決することはできませんでした。
不眠を悪化させる“心の思い込み”
そこで気づいたのは、私の心の奥にあった思い込みでした。
「早く成果を出さなければ」
「失敗したらどう思われるだろう」
「ちゃんと頑張らなきゃいけない」
一見まじめで正しいように思える考えですが、実際には常に心を緊張させるものでした。昼間は意識しなくても、夜になるとその緊張が不安としてあふれ出し、眠りを妨げていたのです。
さらに私の中には、
「こんなに努力しているのに、どうして眠れないんだろう」
という焦りや自己否定の思いもありました。
同じように──
- 布団に入った途端、「眠れなかったらどうしよう」と不安になる
- 「明日の仕事に響いたら困る」と考えて余計に眠れなくなる
- 「眠れないのは自分のせいだ」と責めてしまう
こうした思い込みを抱えていませんか?
不眠はただ「眠れない」という症状ではなく、心が発しているサインでもあるのだと、私は実感しました。
改善のカギは「心との向き合い」
転機となったのは、カウンセリングを受けたときのことです。
先生から言われたのは、
**「凝り固まった思考を、少しずつ緩めていきましょう」**という言葉でした。
私はそれまで「頑張らなきゃ」「やらなきゃいけない」という思考で自分を縛り続けていました。
その結果、自分の心よりも「こうあるべき」という考えに支配されていたのです。
先生からは、こうも言われました。
「あなたの不眠は“眠れないこと”そのものではなく、そこにある考えに強く影響されて現れているんですよ」
言われてみれば、確かにそうでした。
- 眠れなかったらどうしよう
- 周りに迷惑をかけてしまう
- きちんとやらなければならない
こうした思い込みに心がとらわれ、夜になるとその緊張や不安が不眠という形で表に出ていたのです。
「自分を緩めてもいいんだ」と思えるようになってから、少しずつ心が軽くなり、不安にとらわれて眠れない夜が減っていきました。
そして、気づけば自然と眠りが戻ってきたのです。
今日からできる実践ポイント
もし生活改善をしても眠れない夜が続くなら、“心の思い込み”を見直すことが次の一歩になります。
- 「眠れなきゃダメ」という考えを手放す
眠れない夜があっても「横になっているだけで体は休まっている」と意識するだけで、気持ちが少し落ち着きます。 - 「自分にとって本当に大切なものは何か」を書き出す
仕事や周囲の期待に縛られていると、心は緊張し続けます。自分の大切にしたいものを明確にすると、余計なストレスに振り回されなくなります。 - 不安を感じたら、深呼吸や短時間の瞑想で緊張をゆるめる
数分でも意識して呼吸を整えると、頭の中のぐるぐる思考が落ち着き、眠りやすい状態をつくれます。
小さな工夫の積み重ねが、不眠改善の大きな力になります。
まとめ
不眠はただの「眠れない」という現象ではなく、心が発しているメッセージかもしれません。
生活習慣を整えることは大切ですが、それだけでは限界がある場合もあります。
私自身、振り返れば不眠改善の8割は「心との対話」でした。
大切なものを見直すこと、そして自分の心の思い込みに気づくこと。
不眠は、ただ眠れないという現象ではなく、心からのサインでもあります。
小さな気づきが積み重なることで、不安にとらわれた夜が少しずつ変わっていきます。
不眠改善には「生活習慣」「不安との向き合い」「心を緩める工夫」など、いくつかのステップがあります。私が実際に取り組んだ内容を関連記事にまとめています。
👉 “減薬と不安への向き合い方|抗不安薬を手放した私の実体験”
👉 “減薬中の眠れない日々──私を支えたのは「生活リズム」”
👉 “不眠を悪化させる“完璧ルール”|カウンセリングで学んだ心を緩めるヒント”

