睡眠薬を飲んでも眠れないのは、自分だけだと思っていた。
睡眠薬を飲んでも眠れない。
そんなことが、本当にあるのだろうか。
当時の私は、何度もネットで調べていました。
薬を飲めば眠れるはずなのに、私の場合は、レンドルミンとマイスリー10mgを飲んでも、眠れるのは2〜3時間ほどでした。
まったく眠れない夜が続くこともありました。
薬を飲んでも眠れない人が、ほかにもいるのか知りたい。
でも、そのことを病院で話すのは怖い。
そう思うようになったのには、以前通っていた病院での経験がありました。
その病院で、
「薬を飲んでも、眠れないんです」
と医師に伝えたことがあります。
すると、
「それが続くようだったら、入院しますか」
と言われました。
私はその言葉に大きなショックを受けました。
入院。
その言葉を聞いた瞬間、自分の身体の状態より先に、
仕事はどうしよう。
家族に何と言おう。
周りにどう思われるだろう。
そんなことばかりが頭に浮かびました。
「自分は、そこまで悪い状態なのか」
その怖さもありました。
入院が必要かどうかを考えるより先に、自分がもう、簡単には戻れない場所まで来てしまったような気がしたのだと思います。
それ以来、その病院には行けないと思い、別の病院に変えました。
けれど、新しい病院に変わっても、自分の状態をそのまま伝えることはできませんでした。
眠れないことを詳しく話したら、また入院を勧められるかもしれない。
自分が思っているより、ずっと深刻な状態だと判断されるかもしれない。
分かってもらいたいのに、どこまで話していいのか分からない。
そんな感覚がありました。
眠れない。
薬を飲んでも、2〜3時間しか眠れない。
言葉にするとそれだけなのですが、私の中で起きていたことは、それだけではありませんでした。
朝方に目が覚めると、頭の疲れがまったく取れていない。
身体も重く、考えようとしても、考えがまとまらない。
最低限の生活は何とかできる。
でも、それ以上のことが難しい。
食事のことを考える。
予定を立てる。
何かを判断する。
それまで普通にしていたことが、とても億劫になっていました。
仕事も休めずに行っていましたが、正直なところ、
「行けていた」というより、
「無理やり行っていた」
に近かったように思います。
本当は、この状態を誰かに分かってもらいたい。
でも、話したことで、自分が望んでいない方向へ進んでしまうのも怖い。
だから私は一人で、
薬を飲んでも眠れないことはあるのか。
このまま眠れなくなってしまうのか。
自分と同じ状態の人はいないのか。
そんなことを確かめようとしていました。
「薬を飲んでも眠れない方」という言葉を見つけた
そんなとき、ネットで不眠について調べる中で、不眠相談員の方のサイトにたどり着きました。
その方自身にも、不眠を経験した過去がありました。
そして、サイトには、
「薬を飲んでも眠れない方」
という言葉が書かれていました。
その言葉を見たとき、
「ありえることなんだ」
と思いました。
同じようなところを通った人がいる。
「あ、この人には、最初から説明しなくても通じるかもしれない」
それまで一人で確かめようとしていたことに、初めて言葉を返してもらったような感覚がありました。
私はその後、別の病院に通いながら、その不眠相談員の方に相談し、生活リズムを整え、少しずつできることを積み重ねる道を選びました。
もちろん、必要な治療や選択は人によって違います。
これは、私の場合に選んだ道です。
当時は、眠れないことがすべての原因だと思っていた
その頃の私は、本当に「眠れていないこと」そのものが、すべての原因だと思っていました。
「何日も眠れない 原因」
「睡眠薬を飲んでも眠れない 原因」
暇さえあれば調べていたことを思い出します。
眠れさえすれば、頭の疲れは取れるのに。
眠れさえすれば、仕事にも行けるのに。
家のこともできるのに。
以前の自分に戻れるのに。
だから、どうしたら眠れるのか。
なぜ薬を飲んでも眠れないのか。
その答えばかりを探していました。
けれど、前の日に眠れなかった経験が残っているため、夜になると、
「また今日も眠れないかもしれない」
という考えが浮かぶようになりました。
次の日のことを考えると、
もう一錠追加したほうがいいのではないか。
そんな考えが頭をよぎることもありました。
でも、その直後には、
「これを飲んでも眠れなかったら?」
という別の不安が出てくる。
そして、
「もう薬が効かないのかもしれない」
という考えが大きくなっていきました。
仕事はどうしよう。
この先も眠れなかったらどうしよう。
もっと状態が悪くなったらどうしよう。
身体は疲れ切っていて、ただ休みたい。
けれど頭の中では、まだ起きていない先のことまで考えが進んでいました。
眠れていないことがつらい。
だから、何とかして眠らなければならない。
その思いが強くなるほど、頭は眠れるかどうかを確かめ続けていたように思います。
当時の私には、それもすべて「眠れないから起きていること」に見えていました。
眠れないことが先で、不安になるのはその結果だと思っていたのです。
今振り返ると、眠れていないことだけではなく、眠れなかった経験そのものが、次の夜のプレッシャーになっていました。
ただ、そのことが見えてきたのは、もう少しあとのことでした。
あのときが、終わりではなかった
あの頃の私は、この状態が終わる日を想像できませんでした。
薬を飲んでも眠れない。
頭の疲れが取れない。
それでも仕事へ行かなければならない。
また夜が来る。
その繰り返しから、どのように抜ければいいのか分かりませんでした。
けれど私の場合は、そこから生活の土台を整えたり、自分の中で起きていることを少しずつ見ていったりする時間がありました。
すぐに眠れるようになったわけではありません。
眠れる日と眠れない日を行き来しながら、少しずつ、夜や薬のことを考え続ける時間が減っていきました。
今の私は、夜になることを怖がることもほとんどなくなり、眠って疲れを取り、普通に生活を送っています。
あの頃、私がネットで探していたのは、すぐに眠れる方法だけではなかったのかもしれません。
薬を飲んでも眠れない人が、自分以外にもいること。
そこから変わっていった人がいること。
まずは、それを確かめたかったのだと思います。
私がどのような順番をたどったのかは、[回復の地図]にまとめています。
一方で、今まさに、
「また今夜も眠れないかもしれない」
という不安が強い方は、こちらの記事のほうが、今頭の中で起きていることに近いかもしれません。

