「ちゃんとしなきゃ」「失敗できない」が頭から離れない夜
頼まれたことはきちんとこなす。
約束は守るし、できるだけ早く覚えて迷惑をかけないように努力する。
そんな自分を「当たり前」と思って生きてきました。
でもある時、ふと気づいたのです。
いつから私は、“理想の自分”を演じ続けることに疲れていたのだろう──と。
「ちゃんとしなきゃ」という感覚は、私の中でごく自然なものでした。
怖いとか、不安というよりも、そうしているのが当たり前だった。
当時は、自分が少し緊張しながら動いていたことにさえ気づいていませんでした。
今思えば、その“ほんの少しの緊張”が、ずっと続いていたのだと思います。
完璧主義は「人の目」によって育つ
カウンセリングを受けて、先生からこんな言葉をもらいました。
「あなたが完璧でいようとするのは、人の期待を裏切らないためですね。」
その瞬間、胸の奥がズシンとしました。
私の“完璧さ”の根っこには、「人の目」への恐れがあったのです。
ちゃんとしていれば安心される、頼られる、嫌われない。
その安心を守るために、自分を常に緊張させてきた。
でもそれは、本当の意味での安心ではありませんでした。
他人の期待を鏡にして生きているうちは、
「理想の自分」はいつまでも完成しない。
だから、どれだけ頑張っても「まだ足りない」と感じてしまう。
理想の自分は防衛反応だった
完璧主義は、多くの場合、子どもの頃に身につけた“守り方”です。
「ちゃんとしていれば怒られない」「いい子でいれば安心される」──そんな思いから、
知らず知らずのうちに“理想の自分”を作り上げていきます。
完璧主義の裏側には、
「失敗したくない」「否定されたくない」「がっかりされたくない」
という自己防衛の心が隠れています。
理想の自分は、“本当の自分”を守るための仮面。
それを外すことは怖いけれど、
ずっと仮面をかぶったままだと、息が詰まってしまう。
本当の強さは、理想を守り抜くことではなく、
不完全な自分を認められる余白を持つこと。
その瞬間、心はようやく深呼吸を始めます。
人の目を「外」ではなく「内」に戻す
私が変わり始めたのは、
“人の目”を外の世界から自分の内側に戻した時でした。
「人からどう見られるか」よりも
「自分がどう感じていたいか」を軸にする。
そうすると、行動は変わらなくても、
心の出発点がまったく違ってきます。
「ミスをしないように頑張る」ではなく、
「大切なことを丁寧に伝えたいから準備する」。
この小さな意識の転換が、
プレッシャーを“信頼に変える”力を持っていました。
睡眠にも現れる「完璧の罠」
不思議なことに、
この「完璧でいよう」という緊張は、夜の眠りにも現れます。
「今日はちゃんと眠らなきゃ」
「明日は早いから完璧な睡眠をとらなきゃ」
そう思うほど、心は緊張し、眠りは遠ざかる。
完璧主義は、仕事の場面だけでなく、
自分を休ませる時間にまで影響を及ぼしていました。
“ちゃんとしよう”より、“本当はどうしたい?”と自分に問いかけよう
今でも「ちゃんとしなきゃ」という声は完全には消えません。
でもその声が聞こえたとき、私は立ち止まって問いかけます。
「それは本当に、私がしたいこと?」
誰かの期待に応えるための“ちゃんと”なのか、
自分が心から望む“丁寧さ”なのか。
そこを見分けるだけで、心の緊張がふっとゆるみます。
完璧でいようとすることは、自分を否定から守るための“癖”でもあります。
でも、その癖を手放せる瞬間は、
**「今の自分を責めずに受け入れたとき」**に訪れる。
自分を許すというのは、「何もしなくていい」ということではなく、
「本当の望みを大切にしていい」ということ。
そう思えた夜、
私は初めて、心の奥から静かに深呼吸ができた気がしました。
🌙まとめ|完璧でいようとするほど、心は不安定になる
完璧主義は、努力や責任感の裏側に潜む「怖れ」から生まれます。
人の目を意識して動くことが悪いわけではありません。
ただ、それが自分を責める基準になったとき、心は疲弊していく。
完璧であることよりも、
「今の自分でいい」と思えることのほうが、
ずっと大きな強さをくれます。
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